第二回Hi! ku City選句結果 |
俳句 | 作者 | 選 | 選者 | コメント |
10点句 | ||||
秋空のどこで地球ひん曲がる | 松山たかし | 特選 |
showmaru
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地平線の弧を離れまっすぐのびる青空、どこかにルレットで折り目を付けなくちゃね。 |
選 | 秋津 遥 | 今の世、いろんなことが起きてしまっていますが、そんなこともひっくるめて丸くすっきりおさめたところが成功。 | ||
選 | 一文無 | |||
選 | 山口あずさ | 地球って簡単に曲がってしまうのですね。哀しい。 | ||
選 | ぶう | 秋はつい空を見上げて歩くこと、多いですよね。後ろにのけぞりそうになって。昼は青が夜は月がきれい。いいですね。どこまでも続いているなぁって。元気になれる感じで好きです。 | ||
選 | 草もち | 地球は丸い、って言うけど、高い秋の空を見てると、ほんとうに丸く思えてくる。どこから空がひん曲がっているのか、という疑問がすてき。 ただ、読んだときちょっとリズムが悪い。 | ||
選 | 槇修子 | |||
選 | しぐなす | リズムはよくないですが、どこまでも突き抜けるような青空と丸い地球の対比が面白いと思いました。 | ||
選 | 小島けいじ | うん。こういうの好き。 | ||
感想 | 夜来香 | 鰯雲と言わずして、鰯雲を連想させます。 | ||
9点句 | ||||
運動会靴のひとつが脱げてある | しげはら | 特選 | 一文無 | |
特選 | つーやん | 印象が鮮明です。 | ||
特選 | 白井健介 | 正直に言って、<運動会とほくに見えてゐる大樹>とは共に甲乙つけがたい運動会の秀句。僅差でこちらを特選にしたのは「脱げてある」「靴のひとつ」という焦点を絞り込んだ“具象”が私のなかの印象的な光景を蘇らせてくれたから。これ以上の野暮な説明は要りますまい。 | ||
選 | 喜誉司 | 全部の句について、もしもモノクロームでスナップしてみたらと仮定してみました。この句は絵になるというより、絵にするために一番遊んでみたい風景でした。明るい28ミリあたりで、靴から30センチくらいのところから背景をボカして、大勢の人が去った後、まだどこかに歓声が小さくこだましていそうな感じで。 | ||
選 | ひのえうま | |||
選 | 小島けいじ | 多分、靴というのは靴なのではなく”何か”であるはずだ。それが何かはわからないが、運動会に靴のひとつと持ってきてそれとは全く違った世界を作るのは嫌いではない。 | ||
感想 | ぶう | 好きな題材です。でも、もっともっと膨らみそうな気がします。だから_と思わせるような匂いが欲しかったなぁと感じました。あと少しで余韻を残せそうだから。もう一度同じ題材で詠んでみて頂けませんか? | ||
感想 | さむらい | 動のあとの静。こういうのを詠みたかったんだよなあ。 | ||
感想 | 山口あずさ | 靴を拾っているどころじゃなかったのでしょうね。 | ||
8点句 | ||||
葬儀屋の段取りよろし蕎麦の花 | かんな | 特選 | ぶう | そうなんですよね。何とか冷静にとしながらも実は落ち着きを失っている遺族とのギャップが不思議な光景で。そんな中、宙ぶらりんな気持ちで庭のフキノトウを眺めていた自分を思い出しました。その時の私にはこんな句作れなかった。 |
選 | 齋藤朝比古 | 蕎麦の花が切ない。 | ||
選 | 喜誉司 | もしも自分で詠んだら、蕎麦の花じゃなくって、蕎麦の味にしてしまいそうな!?・・・「蕎麦はまだ花でもてなす山路かな」という芭蕉の句をなんとなく思い出しました。 | ||
選 | 松山たかし | 蕎麦の花ってなぜかしら、どこにでも似合うのですね。不思議な感覚です。 | ||
選 | しげはら | このような題材でありながら、あったかい感じがしました。 | ||
選 | 江戸切子 | |||
選 | 一文無 | |||
感想 | 白井健介 | “葬儀コンサルタント”なる資格試験を設けている業者もあるそうですし、p段取りよろし」いのなんて、そんなの当たり前過ぎるのでは?と思いますが。 | ||
感想 | 山口あずさ | 事務的にテキパキされ過ぎると、辛いというのもありますよね。蕎麦の花の寂しさが際だっています。 | ||
蕎麦の花昼をやさしくしてゐたり | 齋藤朝比古 | 特選 | 五十嵐秀彦 | 甘い味の句にも見えますが、「蕎麦の花」が「やさしく」を少し翳のあるものにしているようです。平凡なようでいて印象深い句となりました。 |
特選 | 松山たかし | こんなやさしい気分がこの時代には必要なんです。 | ||
特選 | 江戸切子 | |||
選 | 岡村知昭 | 蕎麦の花とはどんな花だろうかと無知な私は思ったのですが、小さくて地味なイメージがあります。だから昼の喧騒の中にあって癒されそうに感じるのでしょうか。昼をやさしくするとの措辞、出て来そうででてきません。 | ||
選 | 山口あずさ | 白く小さな花弁の秘やかさがよく現れている。 | ||
感想 | 白井健介 | 類想性は感じられるけれど、この句も採りたいと思いました。巧い。 | ||
7点句 | ||||
殺されてゲンジボタルを吐き出せり | 岡村知昭 | 特選 | 水月 秋杜 | 吐く ということを入れた句はいくつか記憶しているんです。ゲンジボタルは小さい方かな。最大のものは猫でしたが。 |
特選 | みずくらげ | あまりにも悲しい句です。罪なくして殺された人はみんなきっとゲンジボタルを吐き出します。かつて、この国にもゲンジボタルが無数に乱舞する無残で美し過ぎる夏がありました。 | ||
選 | 五十嵐秀彦 | 薄気味の悪い句ですが、いつも魂とつなげて詠われる蛍でもありますが、「殺されて」「吐き出す」というイメージに惹かれました。 | ||
選 | 草もち | うまくいえないけど、気になる一句です。ホタルがいまわの際に吐き出されたというのが、妙にリアル。 | ||
選 | 江戸切子 | |||
感想 | 夜来香 | ホントあの映像はまるでゲンジボタルであります。殺されてという表現はダイレクトすぎるので、もうちょっとひねった表現にしたほうがよいかも。 | ||
感想 | 白井健介 | “死体”だと「吐き出」してるというのではないかも知れないけれど・・・。 | ||
感想 | 山口あずさ | ゲンジボタルはタマシイの象徴か。 | ||
6点句 | ||||
名月や虫ピン刺して保存する | つーやん | 特選 | 豆獅子 | 丸い月に、プチンと虫ピンを刺して自分だけいつでも見れたら良いなと、私も思って・・・。切れ味が良かったです。 |
特選 | 小島けいじ | 月をピンで留めちゃう発想の大きさと繊細さが好き。 | ||
選 | ごんた | ほんとそう思います。とっておけたらいいのにって。 | ||
選 | 秋津 遥 | 今年は十五夜は雨のところが多かったようですが、十六夜の月は綺麗でした。心に保存しておきました。「や」できる必要があったのかちょっと疑問。 | ||
感想 | 白井健介 | この場合「や」の切れ字は適切な用法と言えない。《名月を虫ピンに刺し保存する》で宜いと思う。 | ||
感想 | 山口あずさ | デカダン。 | ||
鋭角な思ひ雨月にさらしおく | 秋津 遥 | 特選 | 草もち | 「鋭角な思ひは」、そのままだと人を傷つけるからなあ。しばらくさらしておくと、適当に角が取れるのかなあ。その際は、「雨月」にさらすのがポイントかあ。 よく覚えとこう。勉強になるなあ。 |
選 | 小島けいじ | 鋭角な思ひが気になった。 | ||
選 | みずくらげ | 大人の静かな怒り。しかし、この国の人たちはあまりにも怒らなさすぎた。この人物も、何もしないで,ただ怒りを雨ざらしにしておくだけなのだろうか。 | ||
選 | しぐなす | こなごなに割れた鏡を想像しました。雨月にさらせば痛くなくなるような気がします。 | ||
選 | (h)かずひろ | 朽ちるもよし、育つもよし。 | ||
感想 | 白井健介 | 好みとして“具象”の無い句には基本的に魅力を感じにくいのです、私は。 | ||
感想 | 山口あずさ | やはりさらしておくと、丸まってくるもんなのでしょうか? | ||
長き夜の志士の貧乏ゆすりかな | 岡村知昭 | 選 | つーやん | 「志士の貧乏ゆすり」が面白みでもあり欠点でもある。 |
選 | 松山たかし | そうそう志士もスケールが小さい時代です。 | ||
選 | 草もち | 物語性があって、いろいろ想像させられます。この志士は、たぶん、歴史に名を残すような人ではなくて、悶々としてただけの情けない志士なんだろうな。 | ||
選 | 一文無 | |||
選 | しぐなす | 幕末にはあまり詳しくありませんが、リアルですね。坂本竜馬とか、ああいうむさ苦しい男の人がしてそう>貧乏ゆすり | ||
選 | しるこ | |||
感想 | 山口あずさ | 情けないところに妙に納得。 | ||
壁に向き動かぬ男秋祭 | つーやん | 特選 | 岡村知昭 | 動かない男、しかしそれだけで存在感を示しているのです。秋祭との取り合わせも抜群です。これぞ男という姿ではないでしょうか。 |
選 | 齋藤朝比古 | 俳句の骨法を知っている作者。 | ||
選 | しるこ | |||
選 | みずくらげ | 無言の男の背中に、どんな野太い怒りが込められているのだろう。 | ||
選 | 小島けいじ | どんな男を想像するかでイメージが全然違うのだろうけれど、私は祭りにふさわしい屈強な男子を思った。祭りの重厚なイメージをが動かぬ男から感じた。 | ||
感想 | 白井健介 | この「男」はつまり“立ち小便”ということか? そう思えてしまうとあまり面白いという感じがしないなぁ・・・。 | ||
感想 | 山口あずさ | どうしてしまったのでしょう? もしや仁王さまで? | ||
5点句 | ||||
秋冷のバスに貼られし尋ね人 | しげはら | 特選 | しるこ | 物悲しい秋が目に浮かびました |
選 | showmaru | 日本の情景ではないような気がする。Blurの“Coffee&TV”のビデオクリップを思い出しました。 | ||
選 | 松山たかし | 最近アルツハイマーの老人を捜すポスターを見ました。寂しい気分です。 | ||
選 | ぶう | 以前歩いた四国札所に沢山の張り紙がありました。殆どが若い人の写真入りで親御さんの気持ちがうかがえました。老若男女一人一人皆自分の人生の主役を懸命に生きているんですね。張り紙があったという事実が書いてあるだけなのに、そんな事まで考えさせられる句でした。 | ||
感想 | 白井健介 | 「秋冷の」が、やや安直な印象を受けました。 | ||
感想 | 山口あずさ | この尋ね人は何かの犯人か? それとも行方不明の家族? <秋冷え>があまり効いていないような気がする。 | ||
水銀の性もつ我よ石榴噛む | しぐなす | 特選 | 齋藤朝比古 | 「水銀の性」とはなんとも言えない感慨。 |
選 | 五十嵐秀彦 | 「我よ」が余分に思いましたが、「水銀の性」と「石榴」で採りました。 | ||
選 | 姫余 | |||
選 | みずくらげ | カッコいい。すこしキザなくらい。 | ||
感想 | 山口あずさ | 水銀。指先で触れるところころと丸まってしまう。自閉症ぎみの水銀。<石鹸を噛む>という感覚が非常によくわかる。 | ||
負けてきて北極星の微動かな | かんな | 選 | ぶう | 懐かしいなぁ。くやしくって涙がにじむなんて。きっとピンと張った空気の夜なんでしょうね。アノ雰囲気を素直に思い出させてくれるスッキリとした気持ちの良い句だと思います。 |
選 | 岡村知昭 | 微動を感じているのは負けた本人でしょう。負けた悔しさを北極星を通じて改めて実感しているわけです。われわれ読者も北極星を通じて本人の悔しさを感じるわけです。直接的な表現は何一つないのに、伝わるものは多いです。 | ||
選 | 山口あずさ | かすかな希望が感じられて好ましい。 | ||
選 | 江戸切子 | |||
選 | 姫余 | |||
感想 | 白井健介 | 「負けてきて」が唐突で、何だか「北極星」という四股名の力士なのだろうか?などと思えてしまいます。 | ||
少しだけうそついてみる星月夜 | 秋津 遥 | 特選 | しげはら | ロマンチックな句ですね。最初「うそぶいてみる」と読んでいました(それはそれでいいような気もするのですが)。「嘘」は漢字にした方がよいような気もします。 |
選 | しぐなす | なんとなくカワイイですね。こんなことを言うのは美少年だ。そうに違いない。 | ||
選 | 豆獅子 | ロマンチックな感じで、かわいい句だなと感じました。 | ||
選 | 江戸切子 | |||
感想 | 山口あずさ | 少しだけの嘘がいささか月並みか。 | ||
4点句 | ||||
すいっちょに合わせ腹筋運動す | しぐなす | 特選 | 山口あずさ | それほど一生懸命でもない美容体操。わたしも今晩忘れずにしようと思います。 |
選 | 齋藤朝比古 | 諧味あり。 | ||
選 | 白井健介 | 今回の作品のなかでは最もユーモラスで面白いと思った。 | ||
運動会とほくに見えてゐる大樹 | 齋藤朝比古 | 特選 | 秋津 遥 | 「大樹」がうまく効いていると思う。勝手な想像ですが、歴史のある学校を誰よりも見守ってきたその樹のおもさが伝わると同時に、それが自分の歴史なのでしょうか? 和みました。 |
選 | つーやん | 位置関係があいまいなところがおしい。 | ||
選 | 白井健介 | 気分の良さも然り“運動会”の句として実に見事な秀句です。 | ||
感想 | 山口あずさ | この大樹は希望の象徴か? | ||
水晶の心音を聴く夜半の秋 | しぐなす | 選 | 齋藤朝比古 | 「水晶の心音」心地良い韻律。季語もさらりとしていて好感。 |
選 | (h)かずひろ | 秋の夜は水晶さえも饒舌そう。 | ||
選 | かんな | 「夜半の秋」できれいに収まり過ぎた。「水晶の心音」が美しい。 | ||
選 | 松山たかし | うーん、苦しい。「夜半の秋」が弱い。でも静かさも伝わってきた。 | ||
感想 | 山口あずさ | <夜半の秋>がもう一ひねり欲しいところ。<水晶の心音>にはしびれた。 | ||
掌で妻と我が子に話し掛け | 川瀬賢二 | 特選 | 槇修子 | 暖かさを感じてほっとします。 |
選 | ごんた | 言葉はないけれど、その手のひらの動きだけでいっぱいの愛が伝わりそうです。 | ||
選 | 姫余 | |||
感想 | さむらい | 娘の寝顔をそっとなでる、今夜も残業帰りのお父さん。違う??今回はこの句が一番好きだなあ。 | ||
感想 | ぶう | この句を見た時ちょっと苦しくて。病室の匂いが思い出されて_ごめんなさい。身につまされて選べませんでした。 | ||
感想 | 山口あずさ | 手話なのだろうかと一瞬思いましたが、もしかして何か念力を送っているのか? | ||
天体のきりきり動く野末菊 | 五十嵐秀彦 | 特選 | (h)かずひろ | 「きりきり動く」という表現をおもしろく思いました。 |
特選 | かんな | 共感はできないが、「きりきり動く」という把握に敬意。 | ||
感想 | 山口あずさ | 天体が悲鳴を上げているような。。。 | ||
秋高し性根は猫に引つ掻かれ | 五十嵐秀彦 | 特選 | 子子 | ほんと、引っかかれぱなし! |
選 | しげはら | 「困ったものです」という感じ、かな。 | ||
選 | 川瀬賢二 | |||
感想 | 白井健介 | 「秋高し」は少なくとも“利いていない”という感じがするのですが。 | ||
感想 | 山口あずさ | 性根が猫に引っ掻かれるということの感覚がつかめなかった。 | ||
ゴキブリもゆったり歩く秋の夜 | しるこ | 選 | ぶう | 産卵期を迎えたゴキブリ〜家の中で産まないで欲しいけど殺すこともできない_あの一瞬が浮かびました。面白い着眼だと思います。こわいけど。 |
選 | 川瀬賢二 | ゴキブリがひねもすのたりウワの空 | ||
選 | ひのえうま | |||
選 | ごんた | すごく想像したくないけれど、でもなぜか気になりました。ゴキちゃんを見て、秋を感じられるなんてすごいです。 | ||
感想 | 山口あずさ | ゴキブリがゆったり歩いているのは瀕死故か。このゆったり感と秋の夜のゆったり感はだいぶ落差があるような気がする。 | ||
3点句 | ||||
降りしきる雨折り畳んだ関係 | 喜誉司 | 選 | 子子 | 新発売!折り畳み式関係? |
選 | 五十嵐秀彦 | 無季ですね。そこが残念です。私の好みとしては季を入れて欲しかった。それでも「折り畳んだ関係」という措辞を無視できませんでした。 | ||
選 | 槇修子 | |||
感想 | 夜来香 | 雨に打たれて気持ちいい状況ってのは、すごくシアワセな時とすごく不幸な時の両方。それが折り畳んだ関係なんですね。何を折り畳むのか?というのが意味深である。 | ||
感想 | 山口あずさ | 雨を折り畳むとどうなるだろう?ことばのねじれ具合が心地いい。 | ||
で? 迷い天使の通る闇 | 子子 | 特選 | 姫余 | いういう、詠み手の想像をかき立てる作品大好きです。 |
選 | 水月 秋杜 | んー。形と内容が着きすぎているというか、厚ぼったい気もするんですけど、好きかな。 | ||
感想 | 山口あずさ | 出口は見つかっただろうか? | ||
自解 | 子子 | で?という山口さんのコメントがとても気になったので。 | ||
乳呑児に水を飲ませる竹の春 | 山口あずさ | 選 | 秋津 遥 | 子供はすくすくと育って欲しいです。「竹の春」にその気持ちがよくでていると思う。ちょっと古い感じはのこりますが・・。 |
選 | かんな | ものすごく深読みできそうでもあり、ただ事のようでもあり、評価の針が定められない。 | ||
選 | 白井健介 | 《乳呑児に水飲ませをり竹の春》と“切った”方がより好いように思われるのですが・・・。 | ||
自解 | 山口あずさ | ニュース番組のアフガニスタンの映像。痩せこけた赤ん坊がミルクを飲んでいると思ったら、ほ乳瓶の中身は透明だった。経口補水塩だったのかもしれないけれども。 | ||
組体操動き出す笛秋高し | 白井健介 | 選 | 姫余 | |
選 | つーやん | 秋高しがつきすぎかも。 | ||
選 | しげはら | いい風景ですが、このままだと笛が動き出すようでおさまりが悪いような気もしてちょっと残念。私なら「動かす笛に」とするところですが、如何。 | ||
感想 | ぶう | 音に空の高さを感じました。秋の空気が心地よくイメージできて。 | ||
感想 | 山口あずさ | 運動会ですね。一瞬の緊張感がよく表れていると思います。 | ||
ヴァイオリンを濡らしているのはねこじゃらし | 一文無 | 選 | 秋津 遥 | 「ヴァイオリンを濡らす」という表現と「猫じゃらし」の感性が気ににりました。ただ「のは」の表現がちょっとおしい。かえって断定したほうがおもしろみをもっと感じられたのに・・・。 |
選 | 山口あずさ | いたずらな気分が好ましい | ||
選 | しるこ | |||
感想 | 白井健介 | この場合“ヴィオロン”(フランス語:violon)として《ヴィオロンを濡らしてをるはねこじやらし》の方が形としては調いますが・・・。 | ||
鬼六に耽る病床秋闌くる | 白井健介 | 特選 | しぐなす | 鬼六〜!! しかも病気。個人的には結核希望。このデカダンスがたまりません。 |
選 | (h)かずひろ | その鬼六は、強心剤?それとも鎮静剤? | ||
感想 | 山口あずさ | 読書の秋。「SMに市民権を与えたのはあなたです」 | ||
味噌汁の掬えば逃げる新豆腐 | 江戸切子 | 選 | しげはら | 最初はこちらが特選だったのですが、「新豆腐」ということばにどうも無理がある気がして。 |
選 | 五十嵐秀彦 | 類型があるかも。「掬えば逃げる」に作者以上(?)の思いをこめて。 | ||
選 | 豆獅子 | おたまからするっと豆腐が逃げて、なかなかすくえない!すごく状況が伝わってきて良かったです。 | ||
感想 | ぶう | ちょっぴり具の足りなかったお味噌汁。私は『太平洋汁』と呼んでいます。貴重なモノどうしてもコレって思うものは追っかけても逃げてしまう_そんなふうに感じたのですが、その解釈で正しいのかどうか自信がなくて。選句できませんでした。ごめんなさい。 | ||
感想 | 白井健介 | 「掬えば逃げる」という措辞には少々抵抗ありだが、“美味しそう”な感じは充分に伝わってきますね。 | ||
感想 | 山口あずさ | 朝食時の微視的な一こま。 | ||
走れ!走れ!走れ!走れ!泣くな!走れ!走れ!走れ!! | 小島けいじ | 特選 | ひのえうま | |
選 | 草もち | 勢いがあって、かっこいい。生意気を言わせてもらえば、前半の「走れ!」をひとつ減らして、シンメトリーにした方が良かったんではないかと、思います。 | ||
感想 | さむらい | なんか圧倒されました。 | ||
感想 | 白井健介 | 作者が思う程には、読み手は面白いと感じないのではないかなぁ・・・。 | ||
感想 | 山口あずさ | 星一徹? | ||
カルピスの原液と夏終わりけり | 齋藤朝比古 | 選 | 槇修子 | 同感。 |
選 | showmaru | 逆さまにした瓶をポンポンと叩いて手のひらに垂らした数滴、あれはゆく夏を濃縮した味だったのか。 | ||
選 | ごんた | 紙パックよりやっぱり茶色のびんを傾けて作ったほうがカルピスはおいしい気がします。 | ||
感想 | 山口あずさ | <原液>って、カルピスに限らず夏を感じさせる。 | ||
キコキコとペダルこぐ子に秋の風 | 豆獅子 | 特選 | ごんた | 一生懸命自転車をこいで、風でたなびくちっちゃな子の髪を想像して、すごくほのぼのしました。 |
選 | 一文無 | |||
感想 | 白井健介 | 「秋の風」が何とも安易な感じがして惜しい。 | ||
感想 | 山口あずさ | オノマトペとその説明を一句の中に共存させるのはもったいないと思う。どちらか一方にして世界を広げて欲しい。 | ||
自解 | 豆獅子 | 何でもない日常の中で、動きを感じた「和み系」の句です。 | ||
そこはダメ押されたたかれ開く恋 | しるこ | 特選 | 川瀬賢二 | 「たたかれ」かな?男にはそういう感じないけれど、女の人の恋の始まり(の予感)って、そんな具合なのかしら。 |
選 | 豆獅子 | 恋の駆け引きの様子が、良いテンポで楽しい句だなと思いました。 | ||
感想 | 白井健介 | この句にも“具象”が無いために漫然な印象のままで終わってしまう。 | ||
感想 | 山口あずさ | 下手な鉄砲も!ということでしょうか? | ||
2点句 | ||||
目の奥で私かたまり瞬きす。 | ごんた | 選 | 川瀬賢二 | |
選 | みずくらげ | こんな驚きの表現があったなんて。とても新鮮です。しかし、何に対してこんなに驚いたのだろう。 | ||
感想 | 白井健介 | 少なくとも「。」が必要な感じはしないのですが・・・。 | ||
感想 | 山口あずさ | この目の主体は誰? | ||
自解 | ごんた | 好きな人の顔をじっと見ていたい時。目をじっとみていると そこで自分がばたんとまばたきした一瞬の動きをあらわしてみました。 | ||
涼し夜にネット漂流腹ペコリンコ | さぶちゃ | 選 | showmaru | 一個だけあったカップ麺。助かりましたね、お湯沸いてますよ。 |
選 | 川瀬賢二 | ペコリンコの響きや良し | ||
感想 | 山口あずさ | ネットサーフィンは食後にどうぞ。 | ||
晩夏光「ネコモブジデホットシテイル」 | つーやん | 選 | 岡村知昭 | 電報の文体を真似たのでしょうか。カッコなしでもよかったと思うのですが、ほっとさせられるものがありました。 |
選 | 白井健介 | 電報も今では漢字かな交じり文ですよねぇ(?)カタカナの電文のレトロ調が利いているなぁと思いました。読み手としても「ホットシテイル」。 | ||
感想 | 山口あずさ | 電報なのだろうか?「ネコモブジ」だけでいいような気も。 | ||
咄!アメリカの耳はロバの耳 | 山口あずさ | 選 | 子子 | ダンボになって飛んでった。。。 |
選 | showmaru | カイバル峠を越えるとき、ロバは西を振り向き嘆息するかもしれない。「ああ、人間という動物はまったく・・・」 | ||
自解 | 山口あずさ | 思わず自主規制しようかと思った一句。表現の自由というか、発言を自主規制してしまいたくなる空気って、どこから生まれてくるのだろう? | ||
鰯雲蹴りたる赤きアドバルーン | showmaru | 選 | 岡村知昭 | 元気のいいアドバルーンだ。鰯雲という秋の代表を見事に蹴っ飛ばしたわけですから。でも見事に俳句なんですよ。 |
選 | 喜誉司 | 鰯雲とかってついその形状を頭の中で再現しようとしてしまいます。アドバルーンが当たったところ、フグとか穴子の形状に・・・本物はあまり見かけなくなった気がします。寂しい。 | ||
感想 | 白井健介 | 「蹴りたる」の主語は何なのでしょう? | ||
感想 | 山口あずさ | 爽やかに決まった一句。 | ||
葡萄ひと粒失恋がこたえます | 草もち | 選 | 子子 | こういう感じ方の出来る年代って、遠いなぁ。 |
選 | 豆獅子 | 最後が「こたえます」と、詠まれているのが印象強かった。葡萄を食べるしぐさから、こういう句が詠めるのってすごいですね。 | ||
感想 | 夜来香 | 葡萄=甘酸っぱいとステレオタイプなのだけど、ひやっと感を感じました。 | ||
感想 | 白井健介 | 「失恋がこたえ」るのなんて、そんなの当たり前じゃん、て感じ。 | ||
感想 | 山口あずさ | 失恋はいついかなるときでもこたえますね。 | ||
ミサ曲で赤子をあやす小夜砧 | 水月 秋杜 | 選 | (h)かずひろ | 聖母様も砧仕事をしたのだろうか?そんなことを考えながらこの句を選びました。 |
選 | つーやん | ありえないところがミソ。 | ||
感想 | 山口あずさ | 乙女チックすぎるか。 | ||
窓に住む野良猫劇場第二幕 | 子子 | 選 | しるこ | |
選 | 喜誉司 | 野良猫が「オフェーリア!」とか言ってそうですね!?? | ||
感想 | 白井健介 | 「窓に住む」を変えて、もっと面白くする工夫が出来るのでは?と思う。 | ||
感想 | 山口あずさ | 猫には猫の世界がある。この劇の内容をもう少し知りたい。 | ||
塔たおれけむりのように残るもの | 摩砂青 | 選 | かんな | 時事とは切り離して読みたい。「思わせぶり」ではなく「示唆的」ととりました。 |
選 | 水月 秋杜 | 倒れるというより崩れるという感じでしたけど。 | ||
感想 | 白井健介 | 「のように」という措辞ではあまり効果的でないように感じる。 | ||
感想 | 山口あずさ | 「けむり」の中に、さまざまな思いが交錯していますね。句としてはちょっと弱いか。 | ||
1点句 | ||||
動くな!あの一瞬のヱノラ・ゲイ | みずくらげ | 選 | ひのえうま | |
感想 | 白井健介 | 申し訳ない。聞いたことある気がするのですが「エノラ・ゲイ」というのが何だか分かりませんでした。 | ||
感想 | 山口あずさ | 動けと言われても動けない。エノラ・ゲイはパイロットの母親の名前だそうだけれども、このお母さんは誇らしいと思っただろうか? | ||
秋の蜂窓を叩きて発動す | (h)かずひろ | 選 | 水月 秋杜 | 発動 が効いてますね。ここからなにかが展開していきそうな予兆がいい。 |
感想 | 山口あずさ | 秋の蜂が元気になるとは思えないのですが。。。 | ||
動力が夜空で瞬く神無月 | 松山たかし | 選 | 槇修子 | 神の創造物である人間が作った飛行機。それが同じく神の創造物である星と共に夜空に見える。人間って傲慢なんだろうか。 |
感想 | 山口あずさ | 動力の源は何だろう?もっと焦点を絞れば面白いかも。 | ||
テロ無残貧しき者の芥子の花 | みずくらげ | 選 | 子子 | このキーワードの組み合わせが何故か好き! |
感想 | 白井健介 | 「テロ無惨」と言っておきながら「貧し」さゆえ背に腹は替えられぬ、というふうな理屈とは、この句はいったい何が言いたいのだろう?という感じがする。事態の複雑さを十二分に象徴化できているようには思うものの、心情的にこの句を支持することは出来ないです。 | ||
感想 | 山口あずさ | テロ無惨阿片精製ままならず | ||
流水階段 起立する明日 | 姫余 | 選 | かんな | 「明日」と「起立」は同じベクトルなのだが、「起立する明日」には魅力がある。 |
感想 | 山口あずさ | すがすがしい明日。ということでいいのだろうか? | ||
これいいなぁ 動く心を止める値段 | 楓子 | 選 | ひのえうま | |
感想 | 白井健介 | これは単なる“理屈”ですよね。 | ||
感想 | 山口あずさ | 答えが出てしまっているので、句としての面白みがなくなってしまっています。 | ||
この人に、石をぶつけてください。 | 山口あずさ | 選 | 水月 秋杜 | あはは。いい。 |
自解 | 山口あずさ | 戦争って石をぶつけたくない人に向かって石をぶつけることなんじゃないだろうかと思ってできた一句。 | ||
感想 | 夜来香 | 俳句って、コンセプチュアルアートになるんだと気づきました。行動するのか?立ち止まるのか? いちばん「動」を意識させる句。 | ||
選外 | ||||
変だなあ 体育は得意 だったのに | ひのえうま | 感想 | さむらい | ズバリ、子供の運動会の親子リレーに参加して転んでしまったお父さん(お母さん)でしょ!?悔しさが静かににじんでます。 |
自解 | ひのえうま | 父兄参加した運動会。格好いい姿を披露するはずだったのに。 バーゲンの為なら早起きも、走るのも厭いません。 | ||
家族写真やがては誰もいなくなり | 江戸切子 | 感想 | ぶう | 題材は心情的にもよくわかるし好きなんですけど、なんかもうちょっと表現の仕方があるかなぁって思いました。できれば再考してみてもっと素敵な句にして発表していただけたらと思います。 |
感想 | さむらい | 娘を嫁にやった父親の心情!?最近会社の後輩の結婚式に出席して、花嫁の父の気持ちを疑似体験してしまいましたが、こんな気持ちだと思います。 | ||
感想 | 山口あずさ | 当たり前のことなのだけれども寂しいですね。 | ||
秋風が恋しくさせる二年坂 | 槇修子 | 感想 | 白井健介 | 「秋風が恋しくさせる」とはいかにも常套的な発想。意外性が欲しい。 |
感想 | 山口あずさ | 秋風って、いろんなものを恋しくさせるような気がする。もう一工夫欲しい。 | ||
雨戸打つ闇夜のむこう青ひとつ | ぶう | 感想 | 山口あずさ | この「青」は何を表しているのだろうか?馬ならひとつではなく一頭だろうし。。。交差点の側に家があって、雨戸を開けると信号機がある? |
変だなあ 体育は得意 だったのに | ひのえうま | 感想 | 白井健介 | 解らない どうして分かち 書きなのか |
感想 | 山口あずさ | <加齢による体力の衰え>が別段詩ではないのと同じように、この句からは詩情は感じられない。一文字空いている理由も不明。 | ||
台風は遅き動きか温暖化 | 誠 | 感想 | 山口あずさ | 台風に重ねて何かが言いたかったのでしょうか?その何かが見えてこない。それとも、単なる報告? |
カーンとひとつ竹林なりてしばし立つ | ぶう | 感想 | 白井健介 | “竹林鳴りて”と漢字にする方が分かり易いと思います。 |
感想 | 山口あずさ | このカーンは鳴子? それともホームラン? | ||
”ホームラン風”のいつしか雁渡し | 白井健介 | 感想 | 山口あずさ | すがすがしい。 |
迷走の台風過ぎし不惑の家 | showmaru | 感想 | 山口あずさ | <迷走>と<不惑>の対比なのだが、今ひとつ。 |
ナイターや一家六人焼死文字 | 一文無 | 感想 | 白井健介 | この「ナイターや」という季語の斡旋はまったく意図不明に思えますが。 |
感想 | 山口あずさ | 臨時ニュースに心が痛みます。 |