第八回Hi! ku City句結果

8点句
密告を集めて春の小川かな 岡村知昭 特選 齋藤朝比古 面白い。さらさらゆく密告。
特選 江戸切子 雪解けの小川のせせらぎが聞こえてくるような。
特選 夜来香 きれいに集まって、さらさらと流れている情景が浮かびます。でも、コレって怖い風景ですね。
五十嵐秀彦 どういう小川じゃ、と思いながら気になってしまう句。こういうスルリと逃げて行く句が好きです。
喜誉司 こんなもんが集まってくる人ってどんな人!??
感想 白井健介 少々無理を感じないでもないが、この発想・把握は魅力的だと思いました。
6点句
てのひらはてのひらのまま春の愚者 五十嵐秀彦 (h)かずひろ 冬にじっと手のひらを見ると絶望的な気分になったりするけど、春だと階段をひとつだけ登れそうな気もする。たとえそれがラセン階段であっても。
子子 好きです、この世界。字面も美しいですよね。
山口あずさ てふてふになりたかったのか。
たか志 「じっと手を見る」だれかの詩にこんなフレーズありましたよね。それを思い出しました。
岡村知昭 この「愚者」、実は途方もなく賢者なのかもしれない。てのひらが永遠にてのひらであることに私たちはこの句に出会うまで気付かなかったのですから。惜しむらくは春とは人をおろかにさせる季節だということです。もっと愚者にクローズアップできてたら、とはないものねだり。
一文無  
ピロシキの空洞地下の燈のおぼろ 白井健介 特選 しぐなす ピロシキにホレました。雑多な地下街で、ホームレスか、それくらい貧乏な人がピロシキを頬張っている図を想像しました。「空洞」から都会の闇という感じがしました。現代的感覚が気に入りました。
特選 草もち どれを特選にするか迷いましたが、ピロシキにレジスタンスの地下アジトの物憂さを見た(?)非凡な目に、1票。
特選 喜誉司 こういう句に弱いかも・・・です。
5点句
少年は樹木となりぬ春の宵 しぐなす 特選 五十嵐秀彦 おお、少年が木になったという詩情に賛成!
山口あずさ 風と樹の歌を思い出した。
江戸切子 少年には確かにこんな時期があります。
(h)かずひろ 少女の涙は雨となる。
潮干狩背中明るくありにけり 齋藤朝比古 白井健介 実のところ、“技巧的な冴え”は、私が今回特選に推す作品よりもこの句の方に強く感じております。憎らしいと思えてしまうほど上手い句ですよ、この句。
しぐなす 目の前に画像が浮かびました。
江戸切子 特選を迷った句。子供と行った木更津の海を思い出しました。背中の明るさがいい。
夜来香 素直であたりまえの光景、好感が持てます。
遊月  
感想 五十嵐秀彦 すっきり明るく春らしい句。賛成です。
背伸びして春のキリンとなりにけり たか志 特選 子子 春のキリンにヨワイです。でも、背伸びしたからなれるってもんでもないですよね。
山口あずさ グレーゴール・ザムザよりは、はるかに幸せ。
五十嵐秀彦 OK! 良い句と思いました。そうだ私も春のキリンになりたい、そう思った。
遊月  
感想 白井健介 何と申しましょうか……某社(バレてるってば)の“発泡酒”のキャッチコピーのようでもあるなぁと、そう感じたのは私だけでしょうか?
4点句
朧夜のマネキン歯槽膿漏に しぐなす 特選 山口あずさ マネキンの死のイメージと歯槽膿漏のイメージがこれほど近く感じられるとは。
齋藤朝比古 匂ってきそうなマネキン。
夜来香 マネキンが歯槽膿漏ぎみってのって、発見ですね。
石狩の春一文字の裏表 五十嵐秀彦 子子 春一文字という発見。
岡村知昭 一見簡単そうに見えて結構読みにくかった。「石狩の春」で切れると考えると裏表とはと考えてしまう。ここは春の光の中、ひとつの文字の外側と内側の差を考える人の姿を見てみました。リズムいいですよ。
一文無  
ぶう  
春はあけぼのささくれをとってみる 姫余 五十嵐秀彦 面白い。「ささくれ」は心のささくれか。
齋藤朝比古 痛っ。でもすっきり。
岡村知昭 清少納言に読ませてみたい。微細な感覚をとらえ、生活感にあふれ、そして何より句またがりを感じさせないリズムのよさ。いとよろし。
草もち これぞ春愁、という句だと思いました。
感想 白井健介 「とってみるという措辞がちょっと引っ掛かった。「とってみる」と言うほどのものでないような感じもするので。上手く取らないと痛いよね。
花曇世の中のもの粉っぽく しぐなす 特選 たか志 世の中が粉っぽいっていう言い方、おもしろいです。そう言われてみると、確かにこの時期って「粉っぽい」ですよね。妙に納得。
草もち 世の中がみんな「粉っぽい」という感じ、わたしにもわかります。わたしがいえなかったことを言ってくれた感じがします。
岡村知昭 「〜もの」の句は得意ではありません。逃げてるような感じを受けるからです。この句が良かったのは「粉っぽく」に実感があったから。
3点句
桃の花バンジージャンプ台に人 齋藤朝比古 特選 岡村知昭 取り合わせがいい。バンジージャンプ台の人の動きが何も書いてないにもかかわらず、桃の花の明るさがそれを教えてくれる。
草もち のどかさと緊張感の対比が、いいと思いました。
感想 白井健介 「バンジージャンプ台」に「人」では至って普通ではありませんか? 一読者として「バンジージャンプ台」に例えば「猫」とかの方がまだ惹かれるし、もっと意外性のあるものを置いたインパクトの強い句を期待したり…。
春嵐海を見たいとバスに乗る 正明 たか志 これって、聖子ちゃんの「赤いスイートピー」???っていうか、「バス」を「汽車」にすればですけど。何を隠そう、私は20年来の聖子フリーク。ってなわけで、選んじゃいました。
喜誉司 いてもたってもいられない感じが気に入りました。
遊月  
春の雨それならわたしから言おう 岡村知昭 夜来香 春の雨ってコクハクを促す作用がありますね、確かに。
showmaru やはりあなたですか、口火を切るのは。
草もち いろいろ物語を想像します。
感想 白井健介 一読してふと思ったのですが、この句<花の雨>の方が好いのでは? もし<花の雨>だったら私は採りますよ。もっと好い“雨”があるかも、ですけど。
春北や隣家の犬の地味な顔 山口あずさ 特選 白井健介 「犬」の「地味な顔」という把握および措辞にいたく感心いたしました。本当にそうだなぁと思い当たる犬が近所にも居ります。讃。
江戸切子 あはは。笑える。こういう犬好き。
新しきルージュは淡し春のカフェ showmaru 齋藤朝比古 瀟洒な句。新と淡はややつき過ぎの感あるも、許容範囲かな。
(h)かずひろ 新しいルージュを流行のカフェで見せびらかす人がいて、それを見て目の保養とする人もいて。
ぶう  
感想 五十嵐秀彦 資生堂の宣伝のようで・・・。
朧の夜道路ひそかに伸び縮み 遊月 showmaru 昔そんな道を走った気がする。
しぐなす もしかしたらそうかもという気がしました。
一文無  
朝出逢い夕に恋する豆の花 草もち 白井健介 「朝出会い」という措辞などは荒削りというか、稚拙さを残す表現という印象を受けたが、内容には素直に惹かれた。こういうふうなのは羨ましいです。
showmaru 私もこの季語を使ってみたいと思っていました。
喜誉司 気が早いのか、でも一目惚れでもないような・・・
桜雨ひとり地球の夜の闇 エスプレッソ 特選 遊月 猥雑な日常をつと離れて「地球の夜の闇」に身を沈める。いいですね。
喜誉司 こういう絵柄のアロハがあれば欲しいです。
感想 五十嵐秀彦 「ひとり」が要らないか。「桜雨」「夜の闇」でもう十分孤独ですよ、この句は。
春眠の目覚めは喉の渇きかな 齋藤朝比古 特選 ぶう  
江戸切子  
感想 山口あずさ のどが渇いて目覚めるということから、詩情が浮かばない。。。現実的過ぎるような。。。
春の海ボトルメールが届く午後 水月 秋杜 特選 一文無  
showmaru こんな瓶を拾ったら一生の思い出だろうなあ。
2点句
背伸びする轍の内のタンポポも showmaru 齋藤朝比古 轍の内のタンポポに感じ入るものあり。
ぶう  
感想 五十嵐秀彦 「も」がいけない。「も」が無くても伝わるから。かえってイメージが狭くなる。
春蝉の鳴く遠方にたしかな青 つーやん 特選 (h)かずひろ libido的な赤でもなくdestrudo的な黒でもなく確かな青。蝉は土の中でそれを夢見続けているのかも。
モノクロで音のない春肌を刺す 喜誉司 特選 showmaru それでも春に違いないと感じるのはなぜだろう。
感想 五十嵐秀彦 上五の「で」で繋ぐ感じがあまり好めない。
1点句
春ですよ。痛いの辛いの飛んでいけ 子子 山口あずさ 少年を主人公にした「マイ・ライフ・アズ・ア・ドッグ」という映画があるのだけれども、この映画の主人公の心象は、きっとこの句のような感じなのではないかと思う。
負けた夜やさしく降るな春の雨 水月 秋杜 子子 選びたくないけれども、つい選んでしまう私。
感想 白井健介 こぅいう気持ち、よく分かる。分かるんですけどねぇ……
歯科助手のマスクももいろ夕長し 白井健介 しぐなす 近頃はうっすら色のついたものをお召しですね>看護婦さん関係きれいなおねーさんという感じがします。でも歯医者はキライだ。
春の雨カクテルの名はオフィーリア 正明 白井健介 トレンディードラマ(なんていう言い方ももはや古いのかも)風の雰囲気を持ち、それに纏わる浮薄な一面も併せ持つように思われる句、と感じたが、私はこの句、嫌いじゃないです。
春川の水まぶしくて君を見ず 遊月 たか志 句の背景にあるストーリーが知りたくなる一句。BGMは、小田和正の「キラキラ」。なーんて。
無人駅春陽ばかりの乗車客 エスプレッソ たか志 無人駅、乗客なし、っていうのはよくあるパターンですが・・・。でも、「乗車客」っていう言葉、あるのかなあ。ふつうは、「乗客」ですよね。
こでまりやセーラー服は風はらみ 江戸切子 白井健介 「こでまり」の斡旋が実に周到であり(端的に言えば)この「こでまり」が辛くも一句として成立させ得たのではと私には感じられます。内容の面では(セーラー服に特別な思い入れの無い私ですが)やはり好ましい一句かなぁ。
珈琲に浮かぶ頭痛に春の雨 子子 夜来香 頭痛は珈琲に浮かべると美しいものに変わるんですね。
感想 岡村知昭 接続詞の難しさ。一句の出来としてはいいですよ。
感想 五十嵐秀彦 「に」の重なりがどうも気になる。
君にある般若の印竹の秋 山口あずさ しぐなす 「般若の印」というのがコワイです。「君」はそのうち変身するのでしょうか。和風な感じがよいです。
自解 山口あずさ 竹の子は美味しいけれども、姿は猛々しい。
遠回りして川べりの夕桜 たか志 遊月  
感想 山口あずさ 遠回りの価値がありますね。俳句としては「遠回り」の答が「川べりの夕桜」になってしまうので、広がりがない。
こやつまた乳にあぶれて鳴く仔猫 白井健介 五十嵐秀彦 「こやつ」というのが良いです。仔猫はひょっとしたら人かな?
糸杉の心を揺らす春の風 喜誉司 子子 糸杉にヨワイですね。
感想 山口あずさ ゴッホの絵のイメージが邪魔をして、「春の風」というのがピンと来ない。
春の雲ふわり浮かびて水彩の空 エスプレッソ ぶう  
感想 五十嵐秀彦 「春」「ふわり」「水彩」はカブりすぎ。
チェリストの動く激しき春の夜 一文無 (h)かずひろ 動きと音の不協和音に近い危うさ。それと背中あわせの悦楽。
0点句        
黄砂飛ぶ楼蘭の星姿変へ showmaru 感想 山口あずさ 物語の片鱗のような句。もっと詳しく知りたい。
春雨じゃマイナスイオン指向かな 夜来香 感想 岡村知昭 上五が惜しい。マイナスイオンにやられたのでしょうか、とは悪乗り。ごめんなさい。
花の海死人の手招きひらひらと 水月 秋杜 感想 山口あずさ 臨死体験か。
雪解川あはれ兵士は風に消え 江戸切子 自解 江戸切子 3月に熊野を歩いてきました。
感想 山口あずさ 世界の雪解けはまだまだ先の話なのでしょうか。
春服や息を切らしてバスを待つ たか志 感想 山口あずさ 新入社員の遅刻?
春寒の金融担当相談話 草もち 感想 山口あずさ みずほはどうなってしまうのだろう。
笠の上宿に着いたは十里前の花 ぶう 感想 山口あずさ 「十里前の花」がわからない。
春霞口紅で書くサヨウナラ 岡村知昭 感想 山口あずさ 昼メロ。
人形の髪の毛伸びる春の雷 つーやん 感想 山口あずさ 雷で人形の髪の毛が逆立つなんてこともあるのだろうか。
露天商春風邪ひいておるらしい 草もち 感想 白井健介 余談ですが「春風邪」と「花粉症」って自他共に判別困難ですよねぇ…最近。
絵の筆と絵筆くちづけ春朧 山口あずさ 自解 山口あずさ 絵に描かれた絵筆を見ていたら、その絵筆を描いている絵筆の筆先が、描かれている絵筆と口づけしているように思えたので、一句。
迎春や宇宙時計割ってみる 姫余 感想 山口あずさ 宇宙卵だったら何か生まれたのに。
せんたんは真紅にいたる春色丹 姫余 感想 岡村知昭 色丹!舞台ははるかに国後・択捉を見るせんたんなのでしょう、そして真紅。丹という漢字に赤の意味が含まれているので、この島が持つ色彩の豊かさを勝手に思ったりしました。いつか行きましょう。
薄紅の饒舌さなり睡花(ねむりばな) (h)かずひろ 感想 山口あずさ 「薄紅」「饒舌」「睡花」イメージの膨らむ語を連ねてあるが、一つの像を結ぶに至っていないように思う。
引越しのトラック迎えて希望のない春はもうすぐそこまできていた わいだ 感想 山口あずさ 短歌をリストに揚げるかどうか、一瞬迷いました。が、せっかくの投句(?)と思い、掲載させていただきました。かなり不利だと思いますが、ご健闘を祈ります。
感想 岡村知昭 自由律の試み。と思ったら短歌じゃないかと思ったり。ただ新しい発見には乏しかったみたいです。
感想 五十嵐秀彦 ここは句会ですから、短歌はどうか別のところにお出しください。
残る歳数えて今日の花吹雪 ぶう 感想 山口あずさ 「残る歳」とは寿命のことだろうか? 生きているうちに花でも散らそうかということなのだろうか。
縄文の死者が火を持て山を焼く 江戸切子 感想 五十嵐秀彦 面白いと思いました。でも「縄文」「死者」「火」「山」は少しうるさすぎるか。
風荒れて春南方のローマンス 正明 感想 山口あずさ 「南方」は「なんぽう」なのか、「みなかた」なのか。南方熊楠のローマンスってこたぁないか。。。
春の雨オクターブ高いピアノソロ 喜誉司 感想 山口あずさ 気持ちのいい雨。
フラメンコ・ギターの坊主春の草 つーやん 感想 五十嵐秀彦 ははは。こりゃなんだ。坊主は子どもということではなくて僧侶ですよネ。そうだったら面白い。
桜しべ降るアスファルト爪の痕 (h)かずひろ 感想 山口あずさ 桜しべが爪の痕なのだろうか? 桜しべの柔らかさとアスファルトの堅さと、爪の痕が今ひとつ響き合わない。
鳴りやまぬ悲鳴のような突風にさくらの群れがそらをそぞろに わいだ 感想 岡村知昭 自由律の試み。と思ったら短歌じゃないかと思ったり。ただ新しい発見には乏しかったみたいです。
感想 五十嵐秀彦 おや、こりゃ立派な短歌。ここは句会ですヨ。間違って入ってきちゃったのか?
桜、雨。このスイッチを入れてみる 子子 感想 五十嵐秀彦 一行詩にはかろうじてなっているか。俳句としてはちょっと採れない。
よりそいし忘れ形見にかの匂ひ ぶう 感想 白井健介 うん、そうだろうなぁという気にさせられる。気分はよく分かります。でも「忘れ形見」という語感から漂う情趣に既に常套的な印象を含んでいるという憾みは、こういう句の場合どうにも避けようがないですからねぇ…。
感想 五十嵐秀彦 「匂ひ」と旧仮名にしたのなら「よりそひし」としたいですネ。
ポストマンエープリフールのEメール 一文無 感想 岡村知昭 「ポストマン」が浮いてる感じはしたけど、爽やかな強引さにあふれて面白かった。
花冷や主まつ部屋の青畳 遊月 感想 山口あずさ 畳替えか新居に越したばかりなのか。青畳は寂しがっているのだろうか。

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