第三十三回Hi! ku City選句結果 |
8点句 | ||||
紙風船三年坂を転がりぬ | 草もち | 特選 | きっこ | 対象が紙風船なので、重力だけでなく、風も見えて来ます。単純な捉え方なのに景に奥行きがあり、理想的な切り取り方だと思いました。 |
特選 | 雫 | それを追いかける、小さな子供の姿が浮かんできました。 | ||
選 | 子子 | 俳句の中に「年」という文字が出てくると、妙に魅力的に見えます。 | ||
選 | 喜誉司 | 塊魂みたいです。 | ||
選 | 青河馬 | 切り絵のような風景 | ||
選 | 松たかし | 何でもないように見えるけれど、「紙風船」がどこか哀しい。 | ||
感想 | 齋藤朝比古 | 中七を何にするか。「三年坂」の情趣はなかなかだが、以前似たような句を詠んだことがあり、この句型ではよっぽどのものを持ってこないとオリジナリティは出てこないかもと思う。 | ||
7点句 | ||||
緑陰に光合成の音を聞く | 山口あずさ | 特選 | 青河馬 | 木々の生命力の強さを感じます |
選 | 一人 | 若葉のつぶやきのような音、確かに聞こえるよね。本当だって。あれって光合成の音だったのか。 | ||
選 | 雫 | 光合成の音ってどんな音なのでしょう。 | ||
選 | 松たかし | やや詩性に欠ける面もあるが、気分的にはわかる。 | ||
選 | 子子 | はい、聞こえます! | ||
選 | ken1 | これは確かに聞こえてくる。 | ||
風光る防虫剤と団地妻 | 松たかし | 特選 | 喜誉司 | 和製B級映画みてて、ちょっと「あれっ」て思うシーンに出会えた感じです。 |
特選 | 山口あずさ | 下世話な言葉を「風光る」が救っている。この言葉の取り合わせは秀逸。光を反射する防虫剤に、美しさを感じた。防虫剤は、♪どぶねずみみたいに美しく♪なりたかったのだ。 | ||
選 | かんな | 普段、色物句はできるだけよける。でもこの「団地妻」は笑えました。伝統系季語が新しく生かされているのではないでしょうか。 | ||
選 | 冬音 | なぜかとっても匂いを感じる句 | ||
選 | 草もち | タンスにゴンのCMそのままの、いやらしさ。「風光る」という季語をここまで裏切ってくれると、それはそれで天晴れだと思う。 | ||
春愁をスプーンにのせてリレーする | かんな | 特選 | 松たかし | 頼りげない様がよくでている。 |
選 | 齋藤朝比古 | 昔はよくあったスプーンリレー。なにやらオトウサンのよろよろ走る姿が見えてきて面白い。 | ||
選 | 山口あずさ | 実際にそういうゲームがあったら面白い。それぞれの愁いを載せて、競争して欲しい。 | ||
選 | ken1 | 学校の父母会クラス対抗か、団地自治会号棟対抗か。のせてるのが<春愁>とは危うくコワイ。 | ||
選 | 子子 | スプーンに乗っていたのは春愁だったんですね。 | ||
選 | 白井健介 | この句《春愁をのせしスプーンリレーかな》で宜いのでは?という感じがします。が、作者が文語を遣いたくなかったり、〈かな〉止めを用いたくないという場合には駄目ですけど…。 | ||
5点句 | ||||
待ち合はす蝶一頭と象一頭 | 一人 | 特選 | 齋藤朝比古 | 上手い。「蝶一頭」としたことによって単なるメルヘンに終わらせぬという作者の意志を感じる。 |
選 | かんな | 「蝶一頭と象一頭」。安直な感を与えつつ、蝶と象が待ち合わせるメルヘン?に救われた。間延びした語呂も合っている。 | ||
選 | 草もち | 蝶も一頭、二頭と数えるとは知っていたが、それを巨大な象と一緒に提示されると、新たな発見がある。ユーモアの冴えを感じる一句。 | ||
選 | 喜誉司 | こんな絵を見たことある気がしてきました。 | ||
薪能エナメル質な横の人 | 一文無 | 選 | 雫 | 薪能とエナメル質な人の対比が面白いですね。横の人、そんなにキラキラしてましたか。 |
選 | 喜誉司 | スライムの服とか着ていそうですね。 | ||
選 | きっこ | かがり火に浮かび上がる横の人の顔をうまく捉えていると思いました。 | ||
選 | 青河馬 | エナメル質な人ってどんな人でしょう、あれこれ。 | ||
選 | 冬音 | 「エナメル質」には参りました。 | ||
その高さの光をあつめ蓮華咲く | かんな | 特選 | 一人 | 蓮華に届いた光の粒だけが蓮華を咲かせることができる、という小さな大発見。でも光は波でもあったはず.... |
特選 | ken1 | <その高さ>という発見がすごい。これは高度別?俳句のハシリになるかも知れない。早速下五を、雲雀鳴くとしたくなったほど。 | ||
選 | 喜誉司 | 「その高さ」が気に入りました。朝咲くんですよね。 | ||
感想 | 夜来香 | その高さ、どのくらいの高さなんだろうと思いつつ、蓮華の花咲く風景が見えてきます。 | ||
感想 | 齋藤朝比古 | 「その」の曖昧さと少々大げさな言い振りが「蓮華」と合っている気もするが、もう一歩作者独自の視点も欲しい。 | ||
4点句 | ||||
勾玉は光の記憶春惜しむ | 草もち | 選 | 一人 | 美しい一句。でもなぜ春惜しむなのか。 |
選 | 山口あずさ | 「勾玉」のくすんだ記憶。 | ||
選 | 子子 | 勾玉。。。そう言われても不思議じゃないほどミステリアス。 | ||
選 | かんな | きれいすぎますが、いただきます。類想はない?ですよね。 | ||
ちからこぶ小さくできて春うらら | 山口あずさ | 特選 | 白井健介 | 説明不要の明快さ。気分が好く、微笑ましい。讃。 |
選 | 松たかし | 可愛い・・・! | ||
選 | 一文無 | |||
感想 | 夜来香 | ちからこぶの平仮名表示がいい。 | ||
自解 | 山口あずさ | フィットネスセンターに「ちからこぶ」と書いたマシンがある。このマシンだけ、一番軽いのでないとできない。。。実際はちからこぶがなかなか発達しないわたし。。。 | ||
3点句 | ||||
噴水の俄に昇る五月かな | ken1 | 選 | 雫 | 爽やかな一句だと思います。 |
選 | 齋藤朝比古 | 初夏の爽快感を余すことなく表出している。衒いのない詠いぶりに好感。 | ||
選 | 松たかし | どこかで見たような表現の気もするけれど。肯定します。 | ||
尿意ほど出ぬ尿光る五月祭 | 一文無 | 特選 | かんな | 尿俳句は多い。が、屈折感の凝縮が出色と思います。気になるのは「出ぬ尿光る」でやや動詞がごたつくことと、「光る」が五月祭にもかかるかのように読めること。ともかく、この光は何か神聖な気さえする。 |
選 | 一人 | こんな感じあるよね。わかるわかる。五月祭はいつも気合倒れだったっけ。 | ||
感想 | 夜来香 | 膀胱炎?それも立ちションで!と下世話なつっこみをしたくなりますが、なぜか不快感は残らないですね。 | ||
燕来て父の日課の一つ増へ | たか志 | 特選 | 冬音 | いい家に巣を作ったとツバメも思っていそう。 |
選 | 青河馬 | 父の優しさ、それを眺める人の優しさ | ||
2点句 | ||||
韮多き麺トンと置く長い恋 | 冬音 | 選 | 白井健介 | 「多き」「長い」という文語と口語の混在はこの場合たいして気にならない感じがした。下五の「長い恋」というのはよく解らない謎の部分ですね。しかしこの句の設定の斬新さに私としてはかなり強く惹かれました。 |
選 | 一人 | トンと置いて恋は終わったのか。韮臭い麺はその原因?それとも結果? | ||
輪郭を追う逆光の花盛り | 椚 | 特選 | 子子 | どうも、逆光のこの光景がとても好きです。 |
行く春の宇多田ヒカルの鼻の穴 | きっこ | 選 | 冬音 | 「ヒッキー」ファンとしては、これは“Can You Keep A Secret?”のジャケット写真に違いないと思うのですが! |
選 | 草もち | テーマ「光」から、ココへ持ってくるとは。力技というか何というか、やられました、ハイ。 | ||
開学を待つキャンパスや風光る | たか志 | 特選 | 草もち | 爽やかさもここに極まる、という感じの一句。敷地も建物も、そして風までもが若人たちを待っている。なんとなく既視感を呼び起こすところもあり、好きになった句です。 |
若草よ日光浴の足の裏 | 松たかし | 選 | 白井健介 | 「若草」の上を裸足で歩く、あるいは足を投げ出して寝ころんだり、最高に気分のよい「日光浴」。まことに羨ましい限り。 |
選 | 青河馬 | そんな季節になりました | ||
車庫に入るレール光りて夏浅し | ken1 | 選 | 草もち | レールの踏面の「ギラ」という光は、旅情とか郷愁とかを呼び起こす。たとえそれが車庫へ行く、つまり何処へも行かぬ線路であっても。 |
選 | 一文無 | |||
感想 | 白井健介 | 内容からイメージすると〈車庫を出る〉って感じもするんだけど…。 | ||
感想 | 齋藤朝比古 | レールが車庫に入るという把握は俳句らしい視点で好み。「て〜浅し」の連結具合が少々安易で残念。 | ||
郵便がバイクで来るよ雪柳 | 齋藤朝比古 | 選 | きっこ | 細い路地にはみ出した雪柳が、郵便のバイクで擦れ、はらはらと散る様が見えて来ました。 |
選 | 冬音 | ユキヤナギの優しさが出ててほのぼの。 | ||
1点句 | ||||
サングラスおもむろに取り贋詐欺師 | 冬音 | 選 | ken1 | <贋詐欺師>という二重否定が面白い。ということは可愛らしい坊やか強面のおデカさんか。 |
感想 | 白井健介 | 「贋詐欺師」というキャラクター設定とはまた随分と珍奇ですね。 | ||
櫻東風楽譜の中の棒と旗 | 一人 | 選 | きっこ | 音符を棒と旗に見立て、風の季語を取り合わせたことによって、音楽が視覚的に感じられるようになりました。 |
発光す魚の悲し夏きざす | 青河馬 | 選 | ken1 | 発光している悲しさ、うーん切ないこと。 |
嘘をつく老人群れる蜂も来る | 松たかし | 選 | 一文無 | |
感想 | 夜来香 | 時期からして未納議員のことでしょうか。そうでなくても、「老人群れる」にシュールさを感じました。特選候補。 | ||
水仙の右向け右と咲きそろふ | たか志 | 選 | 山口あずさ | ぱっと絵が浮かんだ。微笑ましい光景。 |
湯の光陣痛の母霞みける | 一人 | 選 | かんな | 「陣痛の母」が有無をいわせない。実景を遠くから見守っているので、霞むのかもしれないし、自分が誕生してからの歳月の長さに霞むのかもしれない。命は闇から光へと生み出された。 |
感想 | 山口あずさ | 母の意識が霞んでいくのだろう、きっと。 | ||
屋上のボンボンベツトや風光る | 青河馬 | 選 | 一文無 | |
感想 | 山口あずさ | ボンボンベットってなんだろうと思って検索してしまった。知らない人が多いと書いてあった。。。が、出力された写真はプールサイドなどによくある塩ビの椅子であった。なるほど。 | ||
声優になる浅き夢亀鳴けり | 白井健介 | 選 | きっこ | 「浅き」と言う措辞によって、季語が生きたと思います。 |
スペシウム光線めくや春の虹 | きっこ | 選 | 齋藤朝比古 | 懐かしい。胸の前で腕を十字にするポーズ。右腕と左腕どちらが前かなどと瑣末なことに拘っていたりして…。そんなある世代の郷愁を美化した「春の虹」がそこはかとない哀感を漂わせている。 |
感想 | 白井健介 | 私の世代だと「虹」の色とは結びつかないんだけど、たぶん新しいシリーズのウルトラマンでは虹色なんでしょうね。 | ||
片栗のそつと俯く夢のあと | 草もち | 選 | 雫 | 片栗の花は見たことがないので、今検索して見てみました。ほんと、俯いていますね。寂しげな感じがしました。 |
薔薇咲くや日に日に暗き世に棲みて | ken1 | 選 | 白井健介 | 「棲みて」は「住みて」が宜いように思われましたが。 |
無影灯メスの光りに耳塞ぐ | 喜誉司 | 選 | 山口あずさ | 異なる五感のとりあわせが好きなので、一票。 |
感想 | 白井健介 | 下五「耳塞ぐ」というのが私には解らなかったですね…。 | ||
朧夜や眼の光濃き異邦人 | 冬音 | 選 | 齋藤朝比古 | 「眼の光濃き」は作者の詩的センスを感じる優れた表現と思う。「異邦人」で答えを明らかにしてしまったのが物足りない感も。 |
0点句 | ||||
光とは餅屋の娘の我侭か | 喜誉司 | 感想 | 山口あずさ | 餅肌がまぶしい餅屋の我侭娘。惚れてなんぼの俳句かな。 |
感想 | 夜来香 | ああそうなんですか。よくわかりませんが、そうゆうことで納得することにします。 | ||
渓谷の宿ふわりががんぼ落ちてきし | 青河馬 | 感想 | 山口あずさ | こういう句を写生句と言うのだろうか? |
シアワセヨこの世に君がいなければ | 子子 | 感想 | 山口あずさ | 怨句? |
朝影に遥かに見れば沈丁香 | 十七夜月 | 感想 | 山口あずさ | 「ポエティックな光景」×「ポエティックな花」=「よりいっそうの詩情」とならないのが俳句なんですね。 |
猫時雨泣いてくれるなおっかさん | 子子 | 感想 | 山口あずさ | 「猫時雨」が勝負どころだったのだと思いますが、今ひとつピンとこなかったです。 |
放置自転車攫はれてゆく蜃気楼 | 白井健介 | 感想 | 山口あずさ | 蜃気楼とは大蛤が見る夢なのだそうだ。夢の跳躍力を感じなかった。 |
春暁の光の束に白む影 | 十七夜月 | 感想 | 山口あずさ | 「春暁」という言葉のイメージにに、その他の言葉がすべて含有されている。 |
おるごおる杉の葉先に日の光 | 山口あずさ | 感想 | 山口あずさ | 光が杉の葉先を鳴らします。 |
行く春の腰光らせてフラダンス | 齋藤朝比古 | 感想 | 白井健介 | 上五「行く春の」がそれ以下の内容と合ってない気がしたのですが…。 |
記念日に君と歩みし花灯路 | 雫 | 感想 | 山口あずさ | 今頃キミはどうしているのだろう、と、一応聞いておこう。 |
光発つ青き血の管衣替え | 一文無 | 感想 | 山口あずさ | てぇのひらを太陽に透かしてみぃれぇばぁ♪真っ赤に流れる僕の血ぃしぃおー♪ |
最後だけ読めず仕舞の春琴抄 | 喜誉司 | 感想 | 山口あずさ | なぜ?どうして? |
海風は日向の匂ひ干鰈 | 齋藤朝比古 | 感想 | 山口あずさ | 「日向の匂ひ」が当たり前のような気も。。。 |
雨つばめ光堂より鞘堂へ | きっこ | 感想 | 山口あずさ | これも見たままなのでしょうか。 |
猫ちょろり春爛漫のローマンス | 子子 | 感想 | 山口あずさ | 「ローマンス」のカタカナ表記が活きていない。 |
瞳孔の閉づるカメラを見詰む春 | 白井健介 | 感想 | 山口あずさ | ピントのきちんとあった古い写真でしょうか。昔の写真にはいいものが多いですね。 |