第2回 青山俳句工場向上句会選句結果

(長文注意!)

さて、新しい投句陣を迎えての第2回向上句会選句結果発表です。第1回はちょっと気負いすぎたかなぁとしばし反省。が、花見と花粉を秤に掛けりゃ花見が重たい俳句の世界。とゆーことで、鼻水が出てもやっぱり強気でゆきましょう。第3回の投句はこの選句結果発表と同時に受付を開始します。「青山俳句工場 Vol.3」が出来上がって、本誌でも通信句会の投句を本格的に募集し始めました。手応えあり、です。ライバルはどんどん殖えます。みなさんがんばりましょうね。さーびす、さーびすっ。

向上句会とりまとめ:山口あずさ@エヴァンゲリオンを今頃見始めた。。


投句協力:松山たかし、村井秋、足立隆、のじりのどか、大石雄鬼(豆の木)、座豚呂・あかりや・はにわ(ToT) ・風狐(以上4名、NIFTY FHAIKU)、中村 安伸・木村ゆかり・白井健介・うにまる・宮崎斗士・山口あずさ(以上6名、青山俳句工場)

感想協力:今泉康弘、大澤義幸、秋山香(以上3名、青山俳句工場)



全体的な感想

松山たかし:今回の作品は何か小粒でした。これからの俳句を作っていく、という旗印をひとりひとりが掲げて行かないと少し危険です。次回に期待したいです。勇気をもって、失敗をおそれずに新しいことを始めましょうよ。

村井秋:今回、選句に大変苦労しました。作家の言いたい点、言葉の意図など分からないものが多かった。分かりすぎる句はつまりませんが、しかしもう少し読み手を意識してもらえると有り難いと思いました。

風狐:現代俳句って、コメントが付けにくいですね (^_^;)


7点句

車窓からみていた冬の疲れ方   うにまる

特選:座豚呂 安伸/選:たかし 斗士 あずさ 
たかし:冬の疲れ方、という表現に惹かれました。
あずさ:疲れている街ってありますよね。
安伸:「冬」じたいが「疲れる」という表現を、安直に社会的な問題などと結び付けたくない。季節そのものに表情を感じることができるということ。「車窓」も効果的だと思う。
ざぶたろ: 確かに、冬という存在は疲れたり色褪せたりしているようです。ひと昔前に は、おそらくこんなことはなかったのでしょうけれど。きっと倦みつつある 社会ならでは、こんな現象を見かけることになるのでしょう。
健介:「冬の疲れ方」という言い方は面白い把握だと思ったが、「方」とまでは言わない方がいいかも…
斗士:あまり深く意味を考えずに選んだ。スタイリッシュ。

ストローで春の海など泡立てる   山口あずさ

選:風狐 座豚呂 たかし のどか 秋 健介 うにまる 
たかし:のどかな春の海への小さな反乱。そんな気概を感じます。これを特選にしようかと考えた位の句です。
はにわ(ToT) :など?他には何を??中途半端ですね。
のどか:この気怠さがよい。炭酸系の春色のドリンクへストローをつきたてて飲んでいたけれど、舌の上に炭酸の刺激を残しつつ、飲むのをやめて気怠くぶくぶくやっている情景かな。
うにまる:「春」の海でなければならないことが句を引き立てている。
秋:これも春愁、気の利いた句ですね。
風狐:スケールが大きいんだか小さいんだかわからない句 (^_^;)きっと、この後ずぶ濡れになったに違いない(笑)
ざぶたろ:「春」の海だから良いのですよね。秋・冬では、この夢見がちな雰囲気は出ない。夏の海、・・・だったらユーミンの歌みたいで、それもちょっと良い かも(^^)
健介:「春の海など泡立てる」の様な「○○など△△してみる」という言い回しはよく遣われますが、私自身は(俳句においては)あまり好ましく思わない。でも内容的には気分の良い句です。


6点句

放蕩の貨物列車や二月尽   あかりや

特選:雄鬼/選:座豚呂 のどか 斗士 あずさ 
はにわ(ToT) :安心できる句の一つだったのですが、貨物列車が放蕩する・・なんか チープですね 。
ざぶたろ:日本中をあちこち動きまわっているってことは同じだけれどね、昔はあいつもそんなヤツじゃなかったんです。ほんとに真面目に働いていたもんですよ、あの貨車のヤツも。近頃は生きがいを無くしちゃったんですかねえ。
斗士:カッチリと出来ている。二月尽効いている。
雄鬼:貨物列車を放蕩と感じた作者。その感覚は突飛ではあるが、言われれば納得できるところがある。長い長いのろのろとした貨物列車が冬を突き抜け、春に向かっている。

材木のみな寄りかかり涅槃西風   大石雄鬼

特選:あかりや/選:座豚呂 安伸 健介 隆 
はにわ(ToT) :とても、いい句だと思いましたが、涅槃西風のリズムが悪く 選にできませんでした 。
あずさ:材木置き場の材木ってみな寄り掛かっているように思いますが…。
安伸:かたちよい伝統句に見せかけて、句の中心に曖昧模糊とした落とし穴を用意した?
あかりや:<みな寄りかかり>に釈迦の涅槃図の入滅を嘆く弟子や鬼神や鳥獣を連想します。
ざぶたろ:具象性の句は少数派ですが、その中でも魅力を感じる句でした。製材所の光景かと、思い浮かべました。
健介:準特選です。完成度の高さはこちらの方が上だと思う。印象は地味ですが実に上手い句。
隆:何ということはなく好きです。


5点句

心臓をどこにもおけず風車   大石雄鬼

選:はにわ(ToT) 斗士 隆 うにまる あずさ 
はにわ(ToT) :なんか 妙に惹かれる句です。
うにまる:どんなドラマがあるのだろうかと興味を持たせる。
あずさ:不思議な魅力。
斗士:風車的感覚を巧みに演出。
隆:「心臓と同じくらいの海鼠かな」石原八束を連想させるがまったく別世界。

意識なくたゆたう海の腕(かいな)かな   風狐

特選:秋 隆/選:はにわ(ToT)  
はにわ(ToT) :波を腕にみたてるとは。。。
秋:大変うまく、海に安らぐ気持ちを一句に仕立て上げられたと感心しました。上質の詩情を感じます。
隆:ひねもすのたりの海にもこういう力強さがある。
あずさ:発見が弱いように思います。

豆まきや傷痍軍人のハーモニカ   松山たかし

特選:風狐/選:雄鬼 斗士 健介 
はにわ(ToT) :傷痍軍人とハーモニカいう言葉のおもしろさだけに頼ってませんか? 豆まきが後付け季語に見えてしまってます。
義幸:「傷痍軍人」がさらに疎外されている寂しさ、切なさが良い。
あずさ:わたしが幼い頃、上野公園にいたあの人たちは今頃どうしているだろう。ハーモニカとアコーディオンが定番だったような気がする。
風狐:物語を感じさせて、とても良いですね。ただ、豆まきでなくても句としてなりたつのが惜しいです。
健介:「傷痍軍人のハーモニカ」というフレーズが物語り得るものの可能性に惹かれた。が、「豆まきや」が利いているようには思えない。もっといい季語がある筈。
斗士:上五と中七下五とのバランスがすごくいい。きちんと成り立っている。見事です。
雄鬼:豆まきに潜んでいるものに思いを馳せる。鬼を豆を武器にして追い払い、幸福を呼び寄せる。そんな暴力があっていいのだろうか。


4点句

桃の花見つめし後の人さらひ   あかりや

選:風狐 ゆかり 健介 あずさ 
ゆかり:「人さらひ」に惹かれました。
風狐:これからさらうぞぉという思いを込めて、桃の花を見ていたのでしょうか (^_^;)
健介:計画的犯行か?それとも「桃の花」が衝動を駆り立てたのか?いずれにしても「見つめ」ていた時間のなかで起こる"犯人"の内面のドラマに関与する「桃の花」の存在感が絶妙。
あずさ:だまし絵。

銀行に鮪飼われてゐたりけり   足立隆

選:あかりや ゆかり のどか 雄鬼 
ゆかり:銀行と鮪の取り合わせが面白いです。鮪なんかどーすんだ? 食べるんだろうか。それとも賄賂にすんのかな。鮪という字、賄という字に似てますね。
あずさ:銀行員が烏賊のごとくに蛍光したり、鮪を飼っていたりするってゆーことは、銀行ってなんか魚介類なんですね。
あかりや:昔の(蛍)光今いづこ。
ざぶたろ:近頃の状況を招いた、あの金融界の人たちのことを言っているのでしょうか。それでは、マグロに失礼ってなもんですよ(--+)
雄鬼:銀行に鮪という図体のでかい、きらきらした、高速で泳ぎつづけなければならないものが飼われている。当然飼われていることは現実としてないだろうから、銀行員そのものをそのように比喩していると感ぜられる。ただ、私としては文字通り鮪がいると鑑賞したい。

春愁をレタスに包み食べてしまふ   白井健介

選:はにわ(ToT) ゆかり たかし うにまる 
たかし:レタスを噛む音にも、愁いがあったりして。ふつうの暮らしのふつうの思いが伝わってきます。
はにわ(ToT) :きっと しょっぱくて、まずいんでしょうけどね
うにまる:春愁が何か美味しそうだったので。マズそうだったら選ばなかった。
ゆかり:面白いけど、なんかあんまりおいしくなさそう(^_^; びんぼーなときは安上がりでいいかもですね。
あずさ:これが本当の春巻きか?
斗士:春愁ってたしかにサラダ感覚。
康弘:せつなそうな味ですね。

雪投げる握手した手の温もりで   うにまる

特選:健介/選:たかし 雄鬼 
たかし:結構、こういう構成の俳句って多いんですが、何かコミュニケーションの形が見えます。
うにまる:「雪投げる握手したての温もりで」と手直ししてみたい作者であった。
健介:降り積もった雪を思わず丸めて投げた時の手の冷たさに、すこし前に握手したその人のその瞬間の手の温もりの記憶が甦ったのでしょう。しばらくは握手したその手を洗わずに…などと思っていたことも忘れ、雪で冷えた手。些かの悔いが感じられるような微笑ましいストーリーです。
雄鬼:握手の温もりを感じながら、おそらく雪合戦の雪礫を作り、それを投げる。取り合わせの面白さと作者の思想を感じる。

瑠璃彦と呼んでください帯地獄   木村 ゆかり

特選:斗士/選:安伸 うにまる 逆選:座豚呂   
うにまる:「瑠璃彦」というひとことのスゴさみたいなのを感じた。「瑠璃彦」だけで人間像を連想させてくる。
あずさ:瑠璃彦って、だれ?
安伸:「瑠璃彦」「帯地獄」という頽廃的、耽美的な造語をつなぐ「呼んでください」が演歌調。
ざぶたろ:逆選を挙げるのはプレッシャーですね(^^;)。好みの問題としてご容赦下さい、作者殿。自分の主観として、句の作品世界を読み取れない数句のなかから選びました。なぜ、この句にしたかというと、帯地獄ってところに、コテ コテの時代劇のアレ(^^;)を連想してしまったから・・・。ゴメンナサイ。
斗士:ただ圧倒された。イメージが怒涛のようにひろがる。

リカちゃんに穴開ける聖金曜日   木村 ゆかり

特選:あずさ/選:雄鬼 隆/逆選:あかりや 
あずさ:あぶない遊び。80年代初頭に確かananか何で紹介された「お注射めめちゃん」という人形を思い出した。この人形、注射をすると涙を流すのです。もちろん注射器も一緒についてくる…。
あかりや:私の体調が思わしくないので。
健介:どうぞお好きに。
隆:こういうあぶなさ今回他にもありますが、この句がぴか一。
雄鬼:穴開けるがどういうことかわからないが、人形としての代表格であるリカちゃん人形に、日本人である作者はなにかを言いたいのであろうか。

一回50円で微笑むだけの売春   山口あずさ

特選:たかし/選:風狐 座豚呂/逆選:安伸 健介 
たかし:こんな売春屋さんあって欲しいな。やさしく微笑んでよとか、あまーく微笑んでよとか、いろいろ注文なんかして。とにかく発想の勝利。俳句かどうか異論もあると思うけど。こんなアイデアのある句大好きです。
はにわ(ToT) :高い買い物ですね 、今時 買う奴がいるのかなぁ 。ちなみにマクドナルドならいつ何時も 0円です。
うにまる:こういうのはチョット…安易すぎだと思います。
義幸:50円で笑うだけなんてマックより高いよ。
風狐:これは小学生売春か(笑)お金もらうまでは無表情なんだろうか…
安伸:思い付いたシチュエーションをそのまま句にした感じ。理屈が鼻について楽しめない。
ざぶたろ:あのひとの微笑みが50円だったら安いと思う。ほんとうに安いと思います。
健介:季感がないことを百も承知の上でのこの「売春」ですが、「微笑むだけ」ならそれは売春ではありません。と『新明解』にもあります。それが一点。だいたい50円ばかりで「微笑む」なんてことをしてはいけません。50円でよいというのならタダで微笑んでおやりなさい。「50円で微笑」んだその瞬間からその微笑みはタダよりも遥かに劣る価値しか持たないものになります。スマイルは0円だからこそ価値があるのです。
斗士:「売春」という言葉、この場合必要だろうか?
あずさ:みなさん、コメントありがとう。売春ということばの意味を始めて知ったとき(たぶん小学校高学年くらいだと思う)、他の春のつく言葉との落差に衝撃を受けた。なんでそんなことが春を売ると言われているのだろう。春というのは桜が咲いたり、暖かくなったり、入学式があったり、なのになぜなぜ。「売春」という言葉から現行の意味を剥奪し、春の季語として復権させることはできないだろうか。たとえば、鴬や桜やなま暖かい南風の総称としての売春。そして現行の意味上の売春を撲滅し当然のことながら援助交際も撲滅する。女性が何かを売ったとしてもせいぜい微笑みくらいにする。もっとも、マックの微笑みがただというのは大きな誤解だし、世の妻たちが5万円のプレゼントをしたところで千回も微笑みはしないというのは過酷な事実であろう。

三月へ浮かれ出るナイ−ブの馬鹿   村井秋

特選:うにまる/選:あかりや ゆかり/逆選:隆 はにわ(ToT)  
はにわ(ToT) :馬鹿? あまりに突飛な言いきりの語彙です。嫌悪!
うにまる:自らのナイーブに「ばかっ…」と呟きかけているのが面白い。三月へ浮かれ出るのがよく似合う。
ゆかり:自分のことかと思った。これだけはっきり言われるとキモチいい。
あかりや:サウイフモノニ ワタシハナリタイ
健介:こういう人、私にも心当たりあります。ただし、正しくは「ナイーブな馬鹿」では?
隆:あんたが馬鹿か。
あずさ:うう。隆さん、キョーレツですね。とは言うものの、ナイーブと馬鹿は付き過ぎ、というより場合によってはほとんど同義となります。[参考]naive:真に無邪気で純真で作為のない;時として愚かしいほど世俗的な知恵がないことも暗示する(研究社新英和中辞典より)


3点句

汽罐車も夢をみてゐる朧の夜   座豚呂

特選:はにわ(ToT)/選:秋 
はにわ(ToT) :機関車のボイラーの熱が冷めて行く様が朧とうまくマッチしてます。
秋:汽かん車はおもちゃのそれですね。はじめそこが分からなかったけれど、とてもかわいい童話的な句でいいですね。
健介:"トーマス"にしろ"やえもん"にしろ汽罐車は擬人化され尽くしているので、当たり前過ぎちゃう感じ。

密会は糸桜なり揺らします   宮崎斗士

特選:のどか 選:安伸 
のどか:密会と糸桜との二句一衝が気に入った。密会に、桜のはかなく美しい様がよく似合う。
安伸:上五中七の比喩は過度に美的だが、下五が複雑にはたらいて効果的。
健介:思うに「糸桜揺らす密会ありにけり」という様な句の言い方を変えたのがいまいち成功していない。

雛の日のキリンで見えぬ親族一同   中村 安伸

選:座豚呂 雄鬼 うにまる 
うにまる:なんかフジカラーとかのCMっぽい映像だけど楽しそうなので。
ざぶたろ: なぜこの句を選んじゃったのか。よく判らないんだけど(^^;)、キリンってちょっと好きですね。なんでだろ?
雄鬼:キリンの向こう側にいる親族一同が見えないのだろうか。それとも親族同士がよく見えないのか。なんとなく、わかるようでわからないが、その雰囲気で取った。雛の日とキリンの取り合わせは、僕には納得できない。

香水を纏う女のフォアグラ   村井秋

選:風狐 ゆかり 斗士 
はにわ(ToT) :が どうしたの?単語の羅列ですか??句意はないの???
ゆかり:女がフォアグラを食べているのか、女の肝臓がフォアグラなのか。女の肝臓がフォアグラであると読みました。贅沢させて太らせて食べちゃうんですね。
あずさ:<香水を纏う女の脂肪肝>、あまり美味しくなさそう。
香:フランスの性格の悪いデブなおばさんのマンガがかけそうです。
あずさ:ちなみに香さんは、青山俳句工場本誌でイラストを描いて下さっています。
風狐:料理を食べる時は香水は控えめにしたほうがいいです (^_^;)香水を纏った女の肝臓をフォアグラにしたとも読めるなぁ。
斗士:大胆なもっていき方に敬服。おもしろい。

地の底を水脈速し春の星   座豚呂

選:のどか 雄鬼 うにまる 
のどか:星はまたたき、水は流れる。どちらも地上にいる我々からは隔たった存在だ。
健介:「水脈」を形容する言葉として「速し」というのが適切であるか疑問です。やはり「速し」であるのは水流でしょうから…内容はよく解るんですけど、その点だけが惜しまれます。
雄鬼:速しがよい。春の星で地球そのものもイメージできる。スケールが大きい。

指鉄砲発砲バレンタインデー   白井健介

選:ゆかり 秋 あずさ/逆選:うにまる 
はにわ(ToT) :鉄砲の発砲とは異な事。。。鉄砲は撃ちます。弾は発砲されます。頭痛が痛い。
うにまる:こういうノリはちょっと苦手なのです。
ゆかり:ちょっと甘いですが、ポップでよろしいです。若いっていいなっ。
香:若いコがいきおいでチョコをわたしている様な感じ。
あずさ:当初特選候補だったが、「指鉄砲君のハートを撃ち落とす」などと解釈してしまったため、並選に。
秋:指鉄砲が良く分かりませんが、兎に角これでは意中の人は射止めれないね。

永き日や合格通知コピーして   白井健介

選:風狐 たかし 隆/逆選:あずさ 
たかし:うれしさの気分がよくでています。ただ「永き日」が緊張感を削いでいるのも事実。季重なりの気も。
香:がんばったあの月日は吉なのでしょうか凶なのでしょうか。紙一枚で…。
あずさ:明解すぎるのではないでしょうか。
風狐:苦節何年なのだろう。うれしさが伝わってくる (^_^;)
斗士:気持ちはわかる。
隆:何の意味もない行為に嬉しさが。

草原に便器と出会う鮭の群れ   中村 安伸

選:はにわ(ToT) のどか 健介/逆選:風狐 
のどか:さわやかなものと、汚きものと、生きているものの集まりの取り合わせに、一票。この三者のすべてが、命の息吹を感じさせてくれる。
はにわ(ToT) :草原に鮭・・で 便器! なんか淫靡でいいですぅ。
風狐:便器が嫌。
うにまる:映像にウケて笑ってしまった。けれど問題提起している。
康弘:本日のシュールレアリズム定義、デュシャン風味。
あずさ:「泉」ですね。


2点句

春の夜の不正な処理をしてたもれ   木村 ゆかり

選:秋 あずさ 
はにわ(ToT) :たもれが前節と繋がってない。。とても読み辛いです 。おちゃらけで誤魔化すのはまずい傾向です。
あずさ:「してたもれ」と言われてついしてしまいそうな「不正な処理」、みなさん犯罪に手を染めないよう気を付けましょうね。
秋:ちょっとエロチック、この軽さがいいです。
健介:「不正な処理」だけでは漠然とし過ぎている。想像するに、私も「不正な処理」、きっと大好きですが…。

金魚沈んでるアルバイトの募集中   村井秋

選:あかりや 安伸 
安伸:「アルバイト募集中」の微妙な沈滞感が「金魚」に実体化されている。
あかりや:健康で、素直で、明るい人。寮あり、至急求む。

花束にまた音楽に鱗生え   中村 安伸

特選:ゆかり 
はにわ(ToT) :花束と音楽と両方に、鱗生えは、かかるんですよね。体液ヌルヌルですか 気持ち悪いですね。
ゆかり:なんだかとても印象に残ったので。鱗の生えた音楽、聞いてみたい。

師の声が耳に残れる春の雨   のじりのどか

選:はにわ(ToT)  隆 
はにわ(ToT) :朧なる記憶と春の雨とがいい味を出してます。
あずさ:春の雨の音と師の声がわたしの中で今ひとつ結びつかなかった。本当に残る「師の声」なら春の雨ではないような…。
ざぶたろ:オーソドックスな俳句として、手堅い作品だと思いました。
隆:春雨とはこんなものだと納得します。


ふるさとはくず篭にあり月朧ろ   のじりのどか

選:風狐 秋 
あずさ:どんな「ふるさと」なのかイメージできませんでした。
秋:哀愁があってほろりときました。
風狐:帰ってこいという手紙を想像しました。
あずさ:なるほど、このように読めばいいのですね。


春月や祖母の口癖思い出す   宮崎斗士

選:座豚呂 のどか 
はにわ(ToT) :安心出来る句のひとつでしたが 口癖があいまいでした。
ざぶたろ:これも、この句会では少数派のオーソドックスな俳句ですね。春月の、まったりとした雰囲気がよく活きていると思いました。


1点句

血の流る冷たき早瀬青き月   風狐

選:はにわ(ToT)  
はにわ(ToT) :林 静一の絵みたいです。
あずさ:「青き月」と「血」ではサスペンス過剰。

武蔵野の赤い花芯に指染める   松山たかし

選:斗士 

斗士:風雅。

牛乳の髭あり雪の降る鏡   うにまる

選:隆 
あずさ:牛乳をぶちまけたってことですか?
ざぶたろ:牛乳瓶か、グラスで飲むと、口のはたにヒゲのように型がつきますよね。なんだか、微笑ましい(^^)
隆:室内の暖かさ外の寒さ、そいういう風景が見えます。

バレンタインデー沼のごとくに靴擦れす   大石雄鬼

選:安伸 
あずさ:痛そ。チョコを配り歩いたのでしょうか。
安伸:「沼のごとく」で勝負。「バレンタインデー」の状況設定もよい。

足指に挟まれている雪景色   山口あずさ

選:安伸 
安伸:エロチックな句だと思う。「景色」の独特な使い方が活きている。

風狂の闇の深さや花吹雪    風狐

選:健介 
あずさ:「風狂」に「花吹雪」どちらか一つでいいのではなかと…。
健介:この様なことを臆面もなく言ってのけるんですから、さすがにクサみが出てしまうのは避けられませんよねえ…そのうえ「花吹雪」ですから…でもホント、共感しちゃいます。

春麗ら街中リンダが闊歩する   はにわ(ToT)

選:たかし/逆選:ゆかり 
たかし:これはもう、面白い。それだけ。
はにわ(ToT) :自解:へそだして ツーステップで おまけに付けまつげ、厚化粧、サイケ服 ウゲッ 熱が出そうや!
ゆかり:うららーうららーうらうらら〜で、つきすぎです。固有名詞ものは好きなので、こういう安易っぽいのは許せません。
あずさ:うるさそうですね。
健介:そのような事態は頼むから勘弁して…


その他の句

夜乱れや行く来る波の春うねり   はにわ(ToT)

はにわ(ToT) :自解:まとまりがなかったですね。 夜乱れ。。創作にしても苦しい語彙です 。
健介:演歌の歌詞にありがちなクサみが出てしまって…特に「春うねり」っていう措辞がねえ…。

コブのない駱駝が駈けるまみどりや   松山たかし

はにわ(ToT) :まみどりって何でしょう??? わからない???
あずさ:「こぶあり」⇒「砂漠」、「こぶなし」⇒「まみどり」と思ったらつまらなく感じてしましました。
あかりや:何かが無い人間は、それでも残念なことに人間だけれど、駱駝は、コブがなければ駱駝では無いという名誉をもつ。

託卵といふモノ流行る春の壺   座豚呂

あずさ:「モノ」をカタカナにしたのはなぜ?

春昼や駐車違反のレッカー車   宮崎斗士

あずさ:駐車違反でレッカー車ではあたり前。

毛玉摘みゐて唄うたふこともなし   あかりや

はにわ(ToT) :省略が句を殺してますね もったいない。

荒れレース葦毛の春に赤忘れ   はにわ(ToT)

はにわ(ToT) :自解:春競馬の新馬戦は よく荒れますね。残念ながら 未だにゲットできません。
あずさ:パドックの鬼となってレースが見抜けたらどんなにいいだろう。と思って、パドックでお馬さんを見ていたら、凍えてしまいました。