満月の異議あり! 第11回 青山俳句工場向上句会選句結果
- こんにちは。満月です。
- やっと第11回青俳結果を読む段になりました。
- まずはまたたぶさん、超大量得票での第1位、おめでとうございます。
- 句会高点句がかならずしもいい句とは限らないですが、この句はいいんじゃないでしょうか。感想は書いたとおりです。
- 》年越しの煙草の灰の軽さかな 肝酔
- この句が高点を得たことがどうしても納得できない。煙草を吸う人と吸わない人とで感想が分かれる、ということだろうか。
- 》やさしさにふれすぎた日に届く河豚 内山いちえ
- これも高得点がわからない。
- 河豚が健介さんも書かれているように落ちになっている。私は落ちがあるものは川柳と見るので、今度は川柳としての厳しい見方をしたい。俳句という名称の元でならちょっとした批評や諧謔程度でもウケるというのでは実に情けない。
- 》半分こにする癖があり花ひいらぎ 宮崎斗士
- 半分こには疑問ありだけど、ここを花ひいらぎにしたところはやはり山羊座の技という感じ(^^;
- 》面接や体の中の蜜柑山 宮崎斗士
- どうも皆さんのコメントを読んでいると、私が面接というものからあまりにも遠くなってしまって、すでにその感覚を覚えていないために読めなかったようだ。
- 》果実酒に沈む果実の鰓呼吸 中村安伸
- これは「の」が問題なのかなあ。
- 鰓呼吸だけに焦点が絞られるので、それが果実酒に沈んだ果実と言われてしまえば、なるほど、から広がらなくなったのです。実は私にも鰓呼吸の句はいくつかありまして。ええっと、探し出せなくてごめんなさい。
- 》降る雪やガス管地より少し浮く 田島健一
- 》またたぶ:
- 》「地より少し浮」きながら地べた近くを這わざるを得ない悲しみはガス管だけのものではない。
- ガス管の悲しみ!おお、これはさすがの鑑賞ですね。
- 》恋愛を放置してより日脚伸ぶ さとうりえ
- この句、恋愛も放置も観念だからぴんとこないのだ。けん太さんの評のように、恋愛をものと受け取るか、満月評のように放置という言葉に具体を与えるか。
- 中村さんの<恋より梱包>では梱包に具体的な映像が伴うので観念遊びに終わらなかったのだ。
- 》まつぴらと言ふ度息の白さかな 千野帽子
- なんだかすごく変なのだけど、この「まっぴら」という音とリズムがおもしろさの原因だろう。まっぴらまっぴらまっぴらまっぴら・・・・・と何回も繰り返して、白い息がそのたび煙草の煙で輪を作ったようにぽっぽっと吐き出される様を浮かべているうち、最初はいいことを書く気のなかったこの句へのコメントがご覧の通りになってしまった(^^;
- 》ヒトデ それは無償の愛 山本一郎
- うーん、これねえ、私にはどうしてもヒトデが無償の愛とデュエットしないんですよ。私のヒトデに対するイメージは、珊瑚礁を食い荒らしたり藻を食べ尽くして漁業や観光用景観や保護動植物に被害を与えるわるーーーい奴、という。。。無償の食い荒らし(^O^;・・・
- 》白亜紀の目玉は光る夏野原 桜吹雪
- これ、高屋窓秋の句に似ているとの評が複数ありますね。私はそうも感じなかったですが。桜吹雪さん自身は窓秋を意識されたのでしょうか。
- ちなみに私はカンブリア紀の生まれです(^^;
- 》姫始ピテカントロプスエレクトす 後藤一之
- 今回一番笑わせてくれた句。短詩人の人?と聞きたくなる。
- 》熱燗や貨物列車も濡れている 松山けん太
- 》あずさ:熱燗は液体。貨物列車は黒い。黒い色は濡れている。連想ゲームが単純にできて
- 》しまう。従って付き過ぎ、と思いました。
- え?黒い色は濡れている?どうして?
- 》欠席者は手をあげて雲の名をあげよ 満月
- 》しんく:不条理俳句。「空の名前」て本をプレゼントしましょう。
- あ、くださあーーい(^^)/
- 南菜風さん、かんこさん、あずささん、選ありがとうございます。
- えーと、せっかく逆選していただいた桜吹雪さんのコメントがありませんが。
- できればひとこと。
- 》沈む船を去る揚羽蝶ありぬべし 満月
- 》隆:どこかで読んだことがあるような。
- 圓水さん、けいじさんありがとうございます。
- 隆さん、それはもしかして<船焼き捨てし/船長は//泳ぐかな 高柳重信>
- では(^^;・・・タイタニックもどこかで引き金を引いているのは確かです。
- 》引き出しに闇家族さまざまな冬 村井秋
- 》建穂:「引き出しに闇」で切れるのだろうが、「引き出しに 闇家族」だったら、ちょっ
- 》と面白いと思った。
- 同じことを考えてますね。「闇家族」などという抽象的な表現が、なぜか具体的映像を伴ってぐわっと迫ってくる現代の世相がこわい。
- 》むめいせんしぶらんこいっしょうけんめい 山口あずさ
- これは全かな書き向きとは今も思わないけど、ふと全カナ書きだったらおもしろいかも、と思った。
- 》冬枯れの龜の木となる荒地詩集 天乃晋次
- あのう、龜の木を教えてください。
- 》死は眠りとさほど変わらず木守り柿 田島 健一
- 》健介:字余りにした効果についてはさておき、形は容易に整うのでご参考
- 》までに。『木守柿さほど変はらぬ眠りと死』
- 参考、とは言っても、そうまでして「形を整え」なければならない理由がわからない。第一、本当にその作品にとって「整った」形が五七五であるかどうかは初めから決まっているわけではない。俳句は五七五に決まっている、というのならあまりにも俳句の歴史と可能性ついて無頓着だ。お気づきかどうか分からないが、改作例は原句よりつまらない上に、句自身の意図の転倒がある。
- 》一本だけで冬をまつ カズ高橋
- 自由律の人には短律を誤解している向きが多い。つまり、要素が少ないことが広い世界を想像できる装置だと思っているように見えるのだ。短律はもっとも厳しい構成がなされなければならない。<陽へ病む>のものすごいテンションを、感じられないというのならどんな句も作れないだろう。
- さて、傲慢にも斬ったはったの感想をどどっと書きました。
- 反論ご意見お待ちします。